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(・∀ ・)たった一つのようです

1 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 11:33:46.36 ID:7qxc1sZX0
あけましておめでとうございます

前スレ
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1230717260/1-100


2 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 11:35:30.60 ID:7qxc1sZX0

2:小【コ】


二つ目の国の話をしよう。
そこは小さな国だった。
全てが小さな小人の国だ。

何せ村も、人も、物も、全てが小さいものだから、僕はまるで怪人とか化け物扱いさ。
踏み込んだ瞬間全員潰してしまうかと思ったよ。
いやまぁ、実際潰してしまったんだけど。

(#∵)「こらー!入ってくるな! この化け物め!」

(・∀ ・)「もう入っちゃいましたよ。あ、すみません家踏んじゃいましたはは」

(#∵)「くぅぬやろーがぁ!!」

ビコーズ村のビコーズ村長という小さなおじさんが、僕の足に噛み付いてきたけど
痛くも痒くもない。
彼は僕の親指程度の大きさしかないから、飛び上がってもせいぜい10cmだしね。

なぜ彼らがこんなに小さいのか、それはわからない。
けど、きっとこういう種族なのだと僕は自分を納得させている。
妖精とか、そんな感じのものなのだろう。

3 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 11:37:27.16 ID:7qxc1sZX0

(・∀ ・)「ところでお聞きしたいんですけど」

ミ(#∵)彡「ぬぅっ!? この状況で暢気に話を続けるとはとんだ神経の図太い奴だ!
     許すまじ!許すマジ!」

(・∀ ・)「え?どっち?」

(#∵)「マジ許さねぇ!」

ビコーズ村長は何故か怒り狂って僕に対して体当たりしてくるけれど
いかんせん、小さすぎるから怒った顔が良く見えない。
それどころかそんなに飛び跳ねられていると間違って踏んでしまいそうだからちょっと大人しくして欲しい。

だから僕はあえて和やかな口調で話を続けた。
そうやって和やかに話しかけることで戦意を失わせる作戦なのだ。

(・∀ ・)「あの、僕この村に入れないんですけどどうすればいいですかね?」

(#∵)「おまっ、いれねぇよ! 絶対いれネェよ! つーかお前が踏んでるそれ俺の家だよ!」

しまった、小さすぎて見えなかった。
和やかに会話を進めたつもりなのに気が付けば僕は村長をさらに怒らせていたらしい。
ピョンピョンと跳ねる高さが若干上がってきた。

仕方なくゆっくりと足を避けると、そこには無傷の家がひっそりと佇んでいて
……あれ?壊れてないなぁ

4 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 11:40:02.06 ID:7qxc1sZX0

(・∀ ・)「壊れてないですよ」

(#∵)「壊すつもりで踏んだのかよ! お前マジありえねぇ!ひでぇ!」

(・∀ ・)「壊れてないんだからそんなに怒らないで下さい」

(#∵)「怒るだろお前!今怒らないでいつ怒るんだよ!! 温厚な俺も怒るよ!」

*(‘‘)*「おとうちゃま? どうかちたの?」

僕と村長が言い争っていると、突然僕がさっきまで踏んでいた小さな家から
これまた小さな女の子が出てきた。
亜麻色の髪を高い位置でしばり、若草色のワンピースを身に纏ったその女の子は
まんまおとぎ話に出て来る妖精のようだった。
少女は巨人並に大きい僕を見上げるように、恐々と視線を送ってきた。

(・∀ ・)「あ、娘さんですか?可愛いですね?」

(#∵)「やらねぇよ!」

(・∀ ・)「誰も下さいとはいってません」

*(‘‘)*「おとうちゃま?何おこってるの?へりかるこわい!」

( ^.^)「おお大丈夫大丈夫〜〜、お父さんが護ってあげるよ〜〜」

(・∀ ・)「うわ」

5 : 【大吉】 【1150円】 :2009/01/01(木) 11:42:30.50 ID:2Wc3sQoD0
a

6 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 11:42:53.29 ID:7qxc1sZX0

(#∵)「うわじゃねえよ!」

どうしてそんなに怒るんだろう。
ほんのちょっと引いただけじゃないか。
それに比べて娘さんの方は、僕と話しているのを見て安心したのか
悪人というものを知らないような足取りで僕の方へとちょこちょこ寄って来た。

何も僕が悪人と言ってるわけではないけど、こんなにも無防備に寄って来られたら
お父さんが過保護になるのも解る気がする。

*(‘‘)*「おにいちゃんはどこからきたの?」

(#∵)「ヘリカル、近寄るんじゃない!死ぬぞ!」

(・∀ ・)「お兄ちゃんはね、外の世界からきたんだよー」

僕は村長さんの言うことを無視してヘリカルちゃんというらしい娘さんに話しかけた。
ヘリカルちゃんは外の世界と言う言葉にその大きな目を輝かせ、興味深そうに僕に聞いてくる。
どうやらこの子は、この小さい村以外の世界を知らないみたいだ。

*(‘‘)*「そとのせかいってなぁにー!?」

(・∀ ・)「外の世界は外の世界だよ。この村よりも大きいところさ、すごく広いんだよ」

( ∵)「おいコラやめろ」


7 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 11:44:23.04 ID:7qxc1sZX0

*(‘‘)*「ヘリカルもいける?」

(・∀ ・)「その気になればね。
     でもみんな大きいからヘリカルちゃんがいくのはちょっと大変かなー」

*(‘‘)*「だいじょーぶだもん!ヘリカルも見たい!!つれてっておにいちゃん!」

( ∵)「やめろってば」

(・∀ ・)「じゃあ、僕の掌の上に乗ってみる? ちょっとは外の世界が見渡せるかもしれないよ?」

*(‘‘)*「うん、のるー!」

( ∵)「やめろ!!!」

そこでビコーズさんが思い切りどなった。
小さな体からは考えられないその声量に僕とヘリカルちゃんの体は一瞬止まる
が、すぐにヘリカルちゃんがむくれて泣き出してしまった。

その声も、やはり小さな体には似合わないほど大きかった。

*(;;)*「あ……あぁぁああ〜〜〜ん!!おとうちゃまのばかぁ!!」

( ∵)「娘を泣かすな!」

(・∀ ・)「僕のせいかなぁ」


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/01(木) 11:44:48.50 ID:kFfzxPUg0
なんでモララーじゃねえんだよ

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/01(木) 11:45:05.88 ID:gdiYwXCfO
あけおめ支援

10 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 11:46:23.11 ID:7qxc1sZX0

しかし村長の焦った様子は変わることなく続いていて、引っ張るようにヘリカルちゃんの手を引いた。
しかしヘリカルちゃんの泣き声は、収まるどころかどんどん大きくなっていく。
その声ははるか高い位置にあるはずの僕の耳をキーンとさせるほどだった。

やがて周りの民家の人々も何事かとざわめき出し、皆が家から顔を出してきた。

「なんだなんだ」
    「どうかしたのか」
 「なんだあの巨人は」
             「どうしてこんなところに」
        

(;∵)「くそっ……こんなところで……」

(・∀ ・)「あの、僕もしかして何かマズイことしちゃいました?」

(#∵)「お前のせいだ!このやろう!」

村長は僕にその辺に転がっていた石を投げてきたが、どうせ当たっても痛くない。

そう思ってそのままじっと動かずにいたのだが
しかしここで少し予想外なことが起きたのだ。

その石は、そのまま僕の足を通り抜けて行った。

(・∀ ・)「え……?」


11 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 11:48:53.66 ID:7qxc1sZX0

ヘリカルちゃんが僕の足にしがみ付く。
あれ?しがみついているように見えて、ヘリカルちゃんの半分は僕の足にうまっている?
埋まっている?いや、そんなはずは…そう思って触れてみると、彼女に実態はなかった。

どうして?
僕は首を傾げたが、相変わらずヘリカルちゃんは泣き止まない。
住人はそんなヘリカルちゃんがうまっているのを見て半狂乱だ。

思えば、最初からおかしかったのかもしれない。
踏まれて無傷な家なんて、あるわけもないんだから。

(#∵)「くそくそくそっ、まただ、また気づかせてしまった!」

(・∀ ・)「え、ちょっと……」

(#∵)「やり直しだ、またやり直さなければいけない、今度は侵入者なんて入れないように、もっと工夫しなければ!」

そういって村長は走り出す、家の中へと走りだし、その家を抜けて赤い煉瓦の小さなおうちへ
そのおうちも抜けると外路地にはいり、野良犬がワンワンと吼える。
しかし村長は動じない。
動じないで走り続け、今度は電灯の上を上り出した。
ぽっかりと暖かい光を放つ橙の結晶を割ると、思い切りそれを下に落とし

そして


12 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 11:49:26.21 ID:7qxc1sZX0





―――パリィイイイイイン………!!!





13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/01(木) 11:52:19.18 ID:gdiYwXCfO
支援

14 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 11:52:49.15 ID:7qxc1sZX0


ヘリカルちゃんの泣き声が木霊する。
ビコーズさんの頭を抱える姿が、住民達の慌てふためく姿が
映像がぶれて、まるで鏡の水底に沈む人形のように、暗く、暗く、暗く……………







(・∀ ・)「……あれ?」

目を開くと、そこはまっさらな更地だった。
あの小さな町も、小さな人も、小さな物も、何もかも消えうせている。

変わりにあるのは、荒廃した土地と、無遠慮に吹き荒れる風だけだ。
砂交じりの風が僕の口の中に入ってくる

(・∀ ・)「わぷっ……」




15 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 11:55:48.65 ID:7qxc1sZX0

ペッペッと砂を吐くと、もう一度辺りを見回した。
何もないところだけど………
しかしキョロキョロと見回すと、中心の方に何かが見えた。

あれはなんだろう?

僕が近付いてみると、それは石碑にも似たコンピュータのようだった。
その電子の塊はカタカタと音を立てていて、どうやらまだ機能しているみたいだ。

コンピュータは未だ鈍い光を放っていて、近付いた僕の顔を薄く照らす。
機械的な文字で、画面にはこう残してあった。


16 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 11:59:11.54 ID:7qxc1sZX0

『 コノ村ノ 再興 ヲ 復活ヲ
  機械ニ支配サレ テモ 
  決シテ 消エハシナイ 消サセナイ
  私ハ諦メナイ
  イツカマタ ミンナ 
              デ ワラ イ……  』

(・∀ ・)

石の下の方には、小さな字で、ビコーズと刻んである。             
きっとこれは村長の字だ
あの小人らしい、小さい字がひっそりと主張されている。    


(・∀ ・)

イツカマタ ミンナ デ
           
(-∀ -)「ああ……」

そうか、そうだったんだね。
村長あなたは。


17 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:00:01.03 ID:7qxc1sZX0

二つ目の国の話をしよう。
そこは小さな国だった。
全てが小さな小人の国だ。

だけどそれは見せかけの国。
機械に支配されて、滅んだ国のなれの果てだ。

ホログラムを残し、優秀なコンピュータを残し、彼らは一体何を伝えたかったのか
それは僕にはわからない。

だけど覚えていて欲しい。

昔々その国に、小さく可愛らしい民族が、笑いあいながら住んでいたということを。



死んだ国に、光よあれ。



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/01(木) 12:00:57.37 ID:gdiYwXCfO
頑張れ支援

19 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:01:35.45 ID:7qxc1sZX0

:::::::::::


( ・∀・)「おかえり」

(・∀ ・)「ただいま…です」

神様の所に帰ると、この方はもう結果はわかっているような顔をして優雅に紅茶を飲んでいらっしゃった。
当たり前だ、神様なんだから。
わからないことなどないのだ。

(・∀ ・)「一つ、聞いてもいいですか?」

( ・∀・)「なんだい?」

(・∀ ・)「あの国はいつ滅んだのですか?」

( ・∀・)「知ってどうする?」

(・∀ ・)「どうということはないですけど………」

ただ、気になったのだ。
僕が見た全てが幻だったのだと信じたくなくて。
しかし神様はその問いに答えてくださることはなかった。

( ・∀・)「じゃあやめておけ。知らないことに首をつっこんでも、やっかいな事にしかならないよ」

神様がそう言うのだったら、僕はそれに従うしかない。
だって神様が僕の世界なのだから。

20 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:02:49.03 ID:7qxc1sZX0

僕はわかりましたと頷いて、消えた国のことを、頭の中から消去した。
デリート、デリート、デリート
コンピュータと同じように、綺麗サッパリ削除しよう。

目に映るのはこの人の綺麗な顔
耳に聞こえるはこの人の美しい声
口を閉ざせば静寂が訪れる、この空間があれば僕はもう何もいらないのだ。



2:故【コ】
            了



21 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:04:05.07 ID:7qxc1sZX0

3:野【ノ】


そこは一面の野原だった。
雄大な大地が、草原が、今目の前に広がっていて、僕はその中心に立っている。
そこに街はない。
人もいない
当然ながら声なんてもの、聞こえるはずはないのに、どうしてか人の声だけは聞こえてくるんだよなあ。

「おおい、おおい」

(・∀ ・)「?」

僕は辺りを見回したが、当然ながら誰の姿も見えない。

「おおい、おおい」

(・∀ ・)「?」

しかしそれでもやはり声は聞こえてくるのだ。
駆け抜ける野原に響く清涼な声はとても気持ちいいものだけれど、出所がわからないとちょっと不気味に思えてしまう。

どこから聞こえてくるのか探した結果、それは僕の足元から聞こえてくることに気が付いた。
足元に視線を移すと、そこには美しい女性の顔があり、僕は驚き思わず尻餅をついた。

22 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:06:21.46 ID:7qxc1sZX0

川 ゚ -゚)「おおい、やっと気づいたか」

(・∀ ・;)「ぎゃぁああああ!」

川 ゚ -゚)「何を驚く、こんな美しい私を前にして」

(・∀ ・;)「お、驚きますよ……そりゃあ……」

川 ゚ -゚)「不思議な男だ」


その女性はクーという名前だった。
もっとも、その名前は生前のものだったので、今の名前は決まっていないらしいけれど。

青い草原に浮かぶ綺麗な女性の顔というのは、ちょっとしたホラーなハズなのに
不思議と彼女の顔を見ているとそんな気分は薄れて行った。
僕がこんにちは、と頭を下げると、クーさんは嬉しそうに微笑んだ。

川 ゚ -゚)「まぁなんにしても久しぶりの客人だ、ゆっくりしていくといい」

(・∀ ・)「………どこで?」

川 ゚ -゚)「そこらへんの草むらがオススメだ」

そこらへんの、といわれてもよくわからないので、僕は近くの草むらにごろりと寝転ぶ。
柔らかい土と、青臭い草に包まれて上を見上げる。ああ、空が高い。
一面の青空を見て、僕はほんのちょっとだけ、ウサギと呼ばれた少年のことを思い出した。


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/01(木) 12:08:06.02 ID:gdiYwXCfO
支援

24 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:08:40.75 ID:7qxc1sZX0

そよそよと泳ぐ風が髪をなびかせ、心地よさが胸に響く。

(・∀ ・)「いーい気持ちですねー」

川 ゚ -゚))「うむ、そうだろう、そうだろう」

クーさんが嬉しそうに頷く(?)と地面が揺れ動いた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

(・∀ ・;)「うわっ、わ!」

川 ゚ -゚)「スマン、つい」

彼女は謝ったが、どうやらちょっとクーさんが動くとそれだけでこの世界は揺れてしまうらしい。
これからは動かさないようにしようと僕は肝に銘じる。
このままじゃ話題もないので、僕は気になったことを彼女へ問いかける。

(・∀ ・)「クーさんは、どうして大地になっているんですか?」

川 ゚ -゚)「ああ、良く聞いてくれた」

そういって、ちょっとだけ嬉しそうに顔を綻ばせた。
もしかしたら僕は彼女にとって本当に久しぶりのお客さんなのかもしれない。
考えてみれば、大地が話しかけてくるなんて普通ではちょっと考えられないことだ。


25 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:09:47.88 ID:7qxc1sZX0

川 ゚ -゚)「昔はここも一つの国でな、いろいろな人たちがいて、皆で一緒に暮らしていたのだが……」

(・∀ ・)「はぁ」

川 ゚ -゚)「いつも争いが絶えなかったんだ。来る日も来る日も人が死んだ」

(・∀ ・)「戦争ってやつですか」

川 ゚ -゚)「違うな」

また地面が揺れ動く、僕は少し慣れたのでさっきよりは慌てなかった。

川 ゚ -゚)「戦うのがこの国の人間の習性だったんだ。しかし私は悲しくてな」

(・∀ ・)「戦うのをやめればよかったのに」

川 ゚ -゚)「話はそんな簡単ではない。目の前で突然手を鳴らされると目を瞑ってしまうだろう?
     そんな反射と同じくらい当たり前に、私達は戦ってしまう人間だったのだ。ある種の種族ともいえる」

(・∀ ・)「悲しいですね」

川 ゚ -゚)「ああ、悲しい、とても悲しい」

26 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:11:23.88 ID:7qxc1sZX0

クーさんは心底悲しそうに、目を瞑った。
僕はなんとなく目の前で手を叩いてみたくなったけど、流石にそれは自重しておく。
目の前に映るのは一面の空だけなのに、聞こえてくるのは凛とした女性の声だなんて、ああ、ロマンチック。

川 ゚ -゚)「聞いているか?」

(・∀ ・)「聞いていますよ?」

川 ゚ -゚)「そうか、それでな、私は考えたんだ」

(・∀ ・)「何をですか?」

川 ゚ -゚)「戦わずにすむ方法を」

(・∀ ・)「あったんですねぇ」

川 ゚ -゚)「あったんだ、当時はそう思ったんだけどな。
     皆一つになれば、争いなんてなくなるって」

クーさんが憂いを含んだ目で、僕と同じように空を見つめた。
その目は少しだけ悲しそうだった。

(・∀ ・)「なくならなかったんですか?」

川 ゚ -゚)「なくならない、争いというのは絶えることがないのだよ」

そう言ってため息を吐く。
その風は竜巻となって僕の体を空へ空へと舞い上がらせた。

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/01(木) 12:12:28.13 ID:gdiYwXCfO
支援す

28 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:13:30.44 ID:7qxc1sZX0

(・∀ ・;)「ぎゃぁああああああああああああ!死ぬぅううううう!!」

川 ゚ -゚)「いや、すまん」



(・∀ ・)「加減してくださいよ本当……」

地面に降りた僕は、もう寝転ぼうとはしなかった。危険だからね。
その場にしゃがんで、クーさんの顔を見ながら、話を続けることにした。

あ、良く見ると睫の色とかは人間だったときの名残なのか、グリーンではなく深いブルーだ。
へぇ、人間だったって言うのは本当なのか。

川 ゚ -゚)「一つになっても争いは耐えない」

(・∀ ・)「へぇ?」

川 ゚ -゚)「例えば今君が佇んでいるその地面では、かつての私の幼馴染達が
     私の婿の座を争って殺し合いをしている」

(・∀ ・)「そんなばかな…」

その言葉に、僕はポカンと口を開けた。
もう皆一つになっているのに、殺し合い?どうすればそんなことが出来るのさ?

川 ゚ -゚)「出来るんだな、これが。ちょっと大地に耳を当ててみろ」

29 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:15:17.68 ID:7qxc1sZX0

僕は言われたとおり、地面に耳を押し当てた。
すると、しんとした大地の奥から、ボソボソと、小さな声が聞こえてくる…………
その声は男のように思えたが、もしかしたら女なのかもしれない。

「クーは誰にも渡さねぇ!死ね!」

「いいや、俺の女だ!死ね!!」

(・∀ ・)「……………」

その言葉を聞いて、僕はぽつりと呟いた。

(・∀ ・)「なくなりませんねぇ」

川 ゚ -゚)「ああ、まったく嘆かわしい」

(・∀ ・)「でも、少なくとも前みたいに死ぬことはなくなったんじゃないですか?」

川 ゚ -゚)「いいや」

(・∀ ・)「え?」

川 ゚ -゚)「殺しあうと、その場の草が枯れてしまう」


30 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:16:53.30 ID:7qxc1sZX0

言われて気づいた。
広い大地の中で、ぽつぽつと茶色く枯れている草があるということに。
一面の緑には似つかわしくない茶が、アンバランスさをかもし出している。

(・∀ ・)

(・∀ ・)「あーーー……」

川 ゚ -゚)「悲しいことだ。このままでは、最後に残るのは荒れ果てた大地だけになってしまう」

(・∀ ・)「そうですねぇ……」

川 ゚ -゚)「なあ、君よ」

(・∀ ・)「なんですか?」

川 ゚ -゚)「どうすれば、争いはなくなると思う?」

(・∀ ・)


 ( ´ー`)

(・∀ ・)「しらねーよ」

僕は曖昧に微笑んで、前に聞いたことのある言葉を口にした。
それは彼女に対しての皮肉のつもりだった。

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/01(木) 12:17:59.78 ID:gdiYwXCfO
支援

32 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:18:27.80 ID:7qxc1sZX0

クーさんは何も言わない。
ただ、ちょっとだけ悲しそうに。
ちょっとだけ嬉しそうに、「そうか」とだけ言って、そのまま目を閉じた。

もしかしたら、誰にもわからないということが、嬉しかったのかもしれないし
鬱陶しい奴がいなくなったのが嬉しかったのかもしれない。

僕もそれ以上は何も言わず、その土地を後にした。





それから、喋る大地があったという話を、聞いたことはない。


33 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:22:19.58 ID:7qxc1sZX0

::::::::::::::::


リンゴンリンゴンと鐘が鳴る。
カランカランと鐘が鳴る。
重く軽く、涼やかな鐘の音は僕の心を深く揺さぶり、深の芯まで暖めてくれる。
その輝きは光に溢れ、僕は薄いヴェールの向こう側へ導かれるように吸い込まれた。



( ・∀・)「おかえりー」

(・∀ ・)「はい、ただいま戻りました」

( ・∀・)「で、今回はどうだった?」

(・∀ ・)「ご存知でしょう」

( ・∀・)「お前さ、俺に楽しさを伝えるんじゃなかったの?」

その言葉に、僕はハッとして頭を下げた
僕は神様になんて暴言を吐いてしまったんだ。
後悔に頭を抱えそのままそこへ蹲る。

34 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:23:30.03 ID:7qxc1sZX0

(・∀ ・)「申し訳ございません……」

( ・∀・)「いいけどね、別に」

(・∀ ・)「……一つ、お聞きしたいことがあるんですけど、いいでしょうか」

( ・∀・)「いいよ、別に」

(・∀ ・)「あの大地はどうして彼女だったのでしょう?」

( ・∀・)「ていうと?」

(・∀ ・)「なぜ、彼女が選ばれのかな、と。他に、争いを嘆く者はいなかったのかな、と」

その言葉に、神様はニヤリと笑うと僕の頭をぐいぐい撫でた。
細くしなやかな指が僕の髪のなかへと埋まっていく。

( ・∀・)「さぁ、どうだろうね。でも、彼女の願いが一番強かったんだろうよ」

( ・∀・)「なんせ、万物の母は皆女性なんだ」

(・∀ ・)「はぁ?」

( ・∀・)「なぜ男と、女という種族があると思う? こんなにも色んな生物が溢れているのに
     与えられる性はその二つだけだ」

35 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:24:56.91 ID:7qxc1sZX0

(・∀ ・)「……それは、必要がなかったからでは?」

( ・∀・)「なぜ?もしかしたらもっと色々な性があったかもしれないのに?」

(・∀ ・)「……私にはわかりかねます」

僕の言葉に神様は微笑み、頭の上から手をどけると、近くにあったリモコンを操作した。
すると僕の後ろに大きな映像が映る。
その映像は、様々な惑星が広がる、宇宙空間。
僕は天体になったような心地でその映像を見つめている。まるで僕がその一部にでもなったように。

(・∀ ・)「これは?」

( ・∀・)「宇宙だ」

(・∀ ・)「はい」

( ・∀・)「宇宙とはなんだと思う?」

(・∀ ・)「………?」

( ・∀・)「女の、腹の中だよ」

そこで宇宙の映像はどんどん遠ざかり、最後に映るのは――――――

(・∀ ・)「あ、あぁあ………」

36 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:26:17.46 ID:7qxc1sZX0

目を見張るほどに美しい○○○ー……
僕はこの美しさを表現する言葉を、残念ながら持ち合わせていない。
今まで見たどんなものよりも美しい、いや、美しいと呼ぶことすら罪になってしまいそうだ。
それほどまでに、…………

( ・∀・)「全てはここから生まれるのさ。だから生物は二つの性しか与えられない
     万物の母、『女』と、それに種を植える『男』
     その二つが揃えば、世界は作れるからね」
        

僕はその光景と、神様のお声を聞きながら、ぼんやりとした夢心地に入り込む。

( ・∀・)「俺からも一つ聞いていいかな」

(・∀ ・)「はい………」

( ・∀・)「最後のあの大地の質問、君は皮肉ったけれど、本当はなんて答えるつもりだったの?」

(・∀ ・)「わかりません……」

( ・∀・)「わからない?」

(・∀ ・)「争うという気持ちが、僕にはわかりません」

37 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:27:42.57 ID:7qxc1sZX0

貴方という、絶対的な存在がいれば、それに従うので争うことはなくなります。
だから、僕にはクーさんの気持ちは絶対にわからないのです。
彼女の悩む理由がわからないのです。

神様はそれに苦笑しながら、再び僕の頭を撫でてきた。
僕はそのまま目を瞑る。




彼女は、あれから悩み続けたのだろうか。
争いを失くす術というのを。

見つかることを信じて

3:悩【の】

           了

38 : ◆q/GlKnlG6s :2009/01/01(木) 12:28:48.15 ID:7qxc1sZX0
これで今回の投下は終わりです
支援ありがとうございました
ひっそりひっそり進めます

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/01(木) 12:30:31.57 ID:gdiYwXCfO

次回もwktkして待ってる

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/01(木) 12:58:31.31 ID:ujHyFEfpO

楽しかった

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/01(木) 13:04:26.10 ID:chBWIr3nO

次回も楽しみにしてる

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