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こころ、のようです

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:20:27.19 ID:flvlM/+l0

一軒家を買うお金が貯まったの、と言われて
私はすっごく驚いたしすっごくすっごく嬉しかった。
けれど、その次の言葉で、その嬉しさはすぐ消えた。
私が聞いたこともない、遠くの海辺の街に住みたいのだという。

でも、海の見えるところに住むのがお父さんの昔の夢だったんだよ、
とお母さんに微笑まれたら、私に断れるはずもなかった。


2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:21:15.74 ID:flvlM/+l0

( 一 )

ζ( ー #ζ「……もーやだ」

なんでコンビニが、23時にしまるんだろう。
全然コンビニエンスじゃない。
今すぐ名前を改ためて欲しい。

この町の嫌なところがまた増えた。

嫌なところ、その一。
近所の人の干渉が凄い。ちょっと出かけようとしたら声をかけられる。
監視されているみたいですっごくイヤ。

その二。
遊べる場所が、近くのデパートか、聞いたこともない名前のカラオケ屋しかない。
んでそのカラオケ、1時間の料金がめちゃくちゃ高い。平日昼間でもバカ高い。

そして今、その三として、コンビニエンスじゃないコンビニエンスストア、が追加された。

私がこんなに苦しんでいるっていうのに、
お母さんはすっかりこの町溶け込んで、
お隣さんから見たこともない何かの漬物を貰ってきたりして。

味方ゼロ。ついでに街灯もゼロ。




3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:22:41.98 ID:flvlM/+l0

地元の人ばかりで構成されていた高校に入った私に、
クラスの人は凄く親し気に話しかけてくれたけど、私にはそれが耐えられなかった。
親し気といえばよく聞こえるけれど、遠慮も何もないといったらそれまでだ。
そして私にはそうとしか感じられなかった。

なじめないでいたら、そのうち嫌みを言われるようになった。
東京の人はみんな援助交際してるんでしょ、とか
そんな顔してるもんね、とか。

くだらなすぎて放っておいたら学校中に広まった。
そうして私から、学校に行く気は消えうせた。


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:23:37.79 ID:flvlM/+l0

何で夜中に街灯が消えるのか、
夜に点かなくて一体いつつくつもりなのか、
なんのための街灯なのか。

誰か納得できるように説明してほしい。
イライラしながら、馬鹿寒いのに馬鹿みたいなミニスカで、知らない町を歩いていた。

真夜中になると田舎はゾッとするほど静かで、無性に不安になる。
それを認めたくなかったから、私は歩き続けた。

もう何年も前になる、秋も終わりの頃のことだった。


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:25:21.44 ID:flvlM/+l0

携帯を見ると、丁度0時を過ぎるくらい。
実を言うと、こんな時間まで出ているつもりはなかった。
裏道とか細道とかを探検しているうちに帰り道がわからなくなって。
…つまり、迷子になっていた。

それでも、どうしてもお母さんに頼る気にはなれなくて、
友達の家に泊まりますとメールを送った。

すぐに、ちゃんとお礼を言うようにとメールが返ってきた。



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:27:31.92 ID:flvlM/+l0

信頼されているのは嬉しいけれど、
何処かでこの嘘を見抜いて欲しいという期待があった。
お母さんが悪くないのはわかっていても、やっぱりどこか悲しくなる。

今なら、こんなものは甘え以外の何ものでもないことがわかるけれど、
このときの私は本当に裏切られたような気分だった。

はあ、と吐いたためいきは白い。

ローファーで蹴った小石が、用水路に落ちた。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:28:44.34 ID:oHUSrNE9O
それから?

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:29:19.37 ID:gr1+mjm8O
さる防止

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:29:42.42 ID:flvlM/+l0

音が全然しない町。
私もそうならなければいけない気がして、
音を立てないように歩く。

夜中って言ったって、まだ0時過ぎなのに、
皆寝てしまったのだろうか。
私にはちょっと、考えられない。
よっぽど疲れていない限り、こんな時間には寝ない。

東京では、ちょっと外を出ればいつだって人がいた。
街灯は勿論暗い間はずっとついているし、
街灯がなくてもマンションや店の光がキラキラしてる。

目を瞑ると、その光景がまだ浮かぶ。
泣きそうになったから、すぐに目を開けた。



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:29:48.46 ID:o154CvME0
ケータイ小説かと思った

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:29:57.65 ID:CEAm0wszO
初支援!続けてくれ!

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:30:32.01 ID:flvlM/+l0

どれくらい歩いただろう。
手も足も、感覚がなくなって、耳がじんじんと熱い。

もしかしたらこのまま死んじゃうのかも。
ここなら、それもありえそう。

そんなことを思っていたとき、私は波の音を聞いた。
誘われるように、音がするほうへ向かう。

そこに、先生は居た。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:31:32.92 ID:flvlM/+l0

( 二 )

寂びれたような浜辺で、その人は立っていた。
何をしているのだろう、と見ていたけれど、
どう見ても何もしていないようだった。

それが逆に私の興味を誘う。

なんでこんな時間に?こんなところに?たったひとりで?
自分のことを棚にあげて、次々と疑問が湧いてくる。
けれど簡単にその疑問をぶつけてはいけないような気もした。

浜辺には、月明かりに照らされても、影が出来るようなものはない。
ただその人の存在が、浜辺に影を作っている。
それは現実味のない、不思議な光景だった。


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:33:37.62 ID:flvlM/+l0

知らない男の人に、こんな時間に、一人で近づくのは危ない。
私の頭がどんなにいっても、心はどうしても、その人に近づきたいという。

歩を進めると、砂浜に落ちていた枝がパキンと鳴った。
普通なら聞き逃すくらいの音だけれど、
波の音以外は本当に何の音もしない今は、立派な主役になりえる音だった。

その音に勿論私もびっくりした。
自分が枝を踏んで出した音だと理解するのに時間がかかった。
それでも、先生のびっくりにはかなわなかったようで、
先生は私を見たまま完全に固まっていた。


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:36:47.19 ID:flvlM/+l0






ζ(゚ー゚;ζ「………」

(;´_>`)「………」

出会いは、本当に間の抜けたものだった。









16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:37:23.05 ID:flvlM/+l0

先生があんまり私を見つめているから、
私も先生を見つめようとしたけど、逆光であんまり見えなかった。
けど、怖い人ではない気がしていた。根拠はなかったけれど。

ζ(゚ー゚;ζ「………」

(;´_>`)「………」

大袈裟にでなく、本当に五分くらいは向き合っていたと思う。

とにかく二人とも凄くびっくりして、動けなかったのだ。
声を出すなんて考えがまず浮かばなかった。



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:39:55.71 ID:flvlM/+l0

(;´_>`)「…ええと」

最初に声を出したのは先生だった。

(;´_>`)「…こんばんは」

ζ(゚ー゚;ζ「こん、ばんは」

なんだかおかしくって、私は笑ってしまった。
一度笑うととまらなくて、ずっと笑ってた。

そんな私を見て、先生もほんの少しだけ笑ってくれたのを、今でも覚えている。


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:39:56.97 ID:LMrzUhjJO
しえん

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:41:01.58 ID:pC4iL5250
これはとてもよい雰囲気

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:41:03.56 ID:flvlM/+l0

コートに緑色のマフラーを巻いた先生から見たミニスカの私は、
見ているだけで寒かったのだろう。
最初の質問は寒くはないのか、だった。

(´<_` )「ちょっと、あんまりにも、無謀な格好だと思うのですが」

ゆっくりと、丁寧に先生が尋ねるので、つられたように私も敬語で返す。

ζ(゚ー゚*ζ「すっごい、寒いです」

普段滅多に使わないへんてこな敬語は、
先生からしたら不自然だったろうけど、
先生は何も言わなかった。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:42:53.38 ID:M7oGdugg0
きたい

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:43:18.20 ID:3Fc+Ik3aO
なんだかいいね

支援

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:43:39.83 ID:flvlM/+l0

(´<_` )「そうでしょうね。何故こんな時間に出歩いているのですか」

言いたくないならば言わなくても結構ですよ、
と付け加えてから、先生はまた海の方を向いた。

そう言われてしまうと私は無性に言いたくなって、
必要以上に大きい声で行った。

ζ(゚ー゚*ζ「迷っちゃったんです」

言ってしまってから少し恥ずかしくなって、私も海を見た。
夜の海は夜よりも暗い。吸い込まれてしまいそうだ。


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:44:15.40 ID:gr1+mjm8O
猿防止

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:45:55.38 ID:pC4iL5250
こういふ話もよいですなぁ

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:46:12.49 ID:flvlM/+l0

(´<_` )「最近引っ越してこられたのですか」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。おじさんは何でこんなところに?」

(´<_` )「似たようなものですね」

ζ(゚ー゚*ζ「へ?」

(´<_` )「私も、迷っているのです」

ζ(゚ー゚;ζ「…道に?」

意外すぎる答えに私は聞き返す。
本当だとしたら、世界で一番余裕のある迷子だと、そのときの私は思った。



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:49:51.66 ID:flvlM/+l0

(´<_` )「ええ」

再び顔を向けられて、ようやく彼の顔を見ることができた。
なかなか格好よくて、少しドキリとする。

(´<_` )「デパートまで行けば、わかりますか?」

一瞬、言っている意味がわからなくて
返事を返せないでいると、続けて先生は言った。

(´<_` )「私がデパートまで送っていけば、貴方は家まで帰ることができますか?」

ζ(゚ー゚;ζ「え、あ、はい。…って貴方も迷子なんじゃないんですか?」

(´<_` )「私の道と、貴方の道は違いますから」

先生は、私が今までに会った誰よりも小難しい言い回しをする人だった。
けれども嫌な感じを受けなかったのは、あくまで口調が丁寧だったからだと思う。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:50:17.51 ID:CEAm0wszO
支援!

今日に限って長編の投下が激しいな…

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:52:24.02 ID:flvlM/+l0

ζ(゚ー゚*ζ「んと、じゃあ、私も一緒に道を探しますよ!
       私だけ教えてもらうわけにはいきません!」

(´<_` )「…優しいんですね」

ζ(゚ー゚*ζ「だって、一人で迷うのは怖いじゃないですか」

(´<_` )「そうですね。本当に、そう思います」

笑って言ってみせるので、
やっぱり彼は世界で一番余裕のある迷子だなあと私は思った。

けれど、実際には、彼は世界で一番救われない迷子だった。
だって、彼の求める道は、帰るべき家は、どこにもなかったのだ。

そしてそうであることを、彼は願っていたのだ。


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:52:25.52 ID:cDrApxhB0
支援


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:53:17.55 ID:gr1+mjm8O
さる防止

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:53:34.34 ID:flvlM/+l0

( 三 )

彼は歩き始める。一人にされたくなくって、私はその後を追う。

ζ(゚ー゚*ζ「あの、本当に、おじさんの道は探さなくていいの?」

(´<_` )「いいんですよ。元より探していませんし」

ζ(゚ー゚;ζ「ええ…じゃあずっとあそこに居るんですか?」

(´<_` )「そのつもりです」

ζ(゚ー゚;ζ「ええ…」

何もあんな寒くて寂しくてちょっとホラーなところを選ばなくっても、と私は思った。
確かに月は綺麗だったけれど。


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:56:36.64 ID:flvlM/+l0

(´<_` )「デパートからは、近いのですか?」

ζ(゚ー゚*ζ「えと、家ですか?走ったら五分くらいでつきます、よ」

(´<_` )「ああ、そうですか。すみません」

ζ(゚ー゚*ζ「何がですか?」

(´<_` )「人と話さなくなって久しいので、相手が理解できるように話す、
      ということが出来なくなっているようです」



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:57:23.74 ID:CEAm0wszO
( 一 )←顔かと思った支援

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:57:32.33 ID:rzbLnvofO
支援

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:58:14.29 ID:flvlM/+l0

結構な重大発言。
それを人ごとのように話すさまが、
その言葉が真実であることを示していたように思う。
諦めたように笑った顔が私には凄く悲しく感じられた。

思い返せば先生は、よく笑う人であった。
どれだけ笑ってみせても、それが先生を解放することはなかったのに。


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:58:54.24 ID:gr1+mjm8O
猿防止

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 21:59:57.87 ID:flvlM/+l0

想像よりずっと早くデパートについてしまい、私は驚いた。

ζ(゚ー゚;ζ「あんなに歩き回ったのにー!」

(´<_` )「この辺は複雑ですから。ぐるぐるとまわっていたのでしょう」

ζ(゚ー゚;ζ「なんか超、くやしい!」

(´<_` )「此処からなら、わかりますね」

ζ(゚ー゚*ζ「はい、ありがとうございます!」

(´<_` )「あなた、今更ですがね、年頃の娘が、こんな時間に歩きまわってはいけませんよ。
      田舎とはいえ、悪人の居ないとも限らないのですから」

ζ(゚ー゚*ζ「でも、おじさんは悪い人じゃなかったでしょ」

(´<_` )「…」

ζ(^ー^*ζ「ありがとう、このまま死んじゃうかと思ってました」

(´<_` )「…早くおかえりなさい、きっと、おかあさんが心配していますよ」



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:02:58.23 ID:flvlM/+l0

私は、この言葉に少なからず傷ついた。
このときの私は、今にもまして考えることを知らなかったけれど、
その中に拒絶が含まれていることに気付けるくらいには、
先生のことを気に入ってしまっていたのだ。

ζ(゚ー゚*ζ「おじさんには、居ないんですか?」

(´<_` )「そうですね」

ζ(゚ー゚*ζ「心配してくれるひとも、心配するひとも?」

(´<_` )「私を心配してくれる人も、私が心配している人も、私の目の前に居ますよ」

遠まわしに、だから早く帰れと言われていることにも気付かずに、私は質問を重ねた。

ζ(゚ー゚*ζ「…私以外には?」

(´<_` )「人と話さなくなって久しい、と言いました」

ζ(゚ー゚*ζ「いつから?」


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:06:00.25 ID:flvlM/+l0

そのときの私は好奇心の塊で、先生のことが知りたくて仕方が無かった。
そんな私を邪険に扱うことが出来ない先生は、私の気をますます引いた。

――もう、認めてしまおう。
このときから、いや、出会った瞬間から、私は先生に恋をしていたのだ。
だから、知りたくて仕方が無かった。

(´<_` )「…その質問に答えたなら、貴方は貴方の身だけを案じて、家に帰ってくれますか?」

溜息混じりに、諦めたように。
私は勝利を確信し、返事をした。

ζ(゚ー゚*ζ「はい!約束します!」

(´<_` )「…そうですね、貴方が生まれて間もないくらいでしょうか」

ζ(゚ー゚;ζ「…ずるい!」

先生は笑った。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:07:25.82 ID:MQI7v9y4O
これはいいふいんき(ry
支援

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:08:44.44 ID:flvlM/+l0

今でも信じられない。
お母さんとそう変わらない年齢の、名前も知らない人に、
一目ぼれをしたということが。

確かに先生は格好良かったけれど、それが理由とも思えない。
そんな理由で恋が出来るのなら、今もこんなに焦がれている説明がつかないのだ。

そもそも恋だ愛だのに、理由なんてものは無粋かもしれない。


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:09:30.98 ID:gr1+mjm8O
猿支援

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:09:47.76 ID:uE9ME00S0
元ネタが元ネタだけになぁ

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:09:56.46 ID:flvlM/+l0

(´<_` )「さ、お帰りなさい」

ζ(゚ー゚#ζ「ばか!おじさんのバカ!女子高生マニア!」

(´<_` )「…さようなら、お気をつけて」



46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:11:00.52 ID:flvlM/+l0

それでも、あえて理由を探すなら、
きっと私はあの日の月を見つけるだろう。

あの月に照らされた、ひとりぼっちの先生を。



47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:11:57.12 ID:gr1+mjm8O
猿防止

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:13:40.99 ID:flvlM/+l0

( 四 )

先生と再会したのは、出会いから三日後のことだった。
この三日とは、つまり私が学校に耐えられた限界だ。
田舎の結束力は恐ろしい。

何もしていないのに、よくもあそこまで噂が出来るものだ。
どうやら私は援助交際を通じて暴力団とまで関係をもったらしい。
うーん、知らなかったなあ。


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:14:32.29 ID:gr1+mjm8O
さる防止

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:15:37.01 ID:flvlM/+l0

あの浜辺までの行き方は全く覚えていなかった。
そもそも迷った末に行った場所だし、三日前と違って昼間なのだ。
このとき気づいたことだけれど、昼と夜では結構、景色は変わる。

それでもなんとか辿り着いた。
私があの浜辺を目指したのは、先生に会えたらという期待もあったけれど、
多くは誰にも咎められない場所を求めてのことだった。

一日中浜辺に居るわけない、とそのときの馬鹿な私でも理解していた。

彼は、私と同じように、きっと悩み事があって、
一人になりたくて、そうしてたまたまあそこにいたのだろう、と。
夜ってそういうものだ。昼なら笑い飛ばせることに、夜には泣かされる。


51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:18:18.74 ID:flvlM/+l0

それでも会えたならば、それはきっと運命だ。
そんなことを考えながら、ぼろぼろの石垣を越えて浜辺に降りた、

つもりが、落ちた。

それはもう、受験生の人ごめんなさいってくらい、見事に落ちた。
浜辺の石が太ももにモロに当たって、めちゃくちゃ痛かった。
鋭い痛みじゃなくて、けど長引く、腹が立つタイプの痛み。

そのうち、この石垣すら私を馬鹿にしている気がしてきた。
クラスの人たちの顔が浮かぶ。
イライラしてきた。


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:20:27.68 ID:gr1+mjm8O
猿防止

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:21:46.35 ID:flvlM/+l0

ζ(゚ー゚#ζ「バーーーーカ!!!」

私は石垣に言い放った。砂浜の砂を掴んで、石垣に投げた。
砂が爪と指との間に詰まってそれがさらにむかついた。

ζ(゚ー゚#ζ「バカ!バカ!バカ!ばーか!ばかああああ!!!」

誰も居ないのをいいことに、私は叫ぶように罵り続けた。

…石垣を。


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:25:06.47 ID:flvlM/+l0

こんなに大声を出したのは何年ぶりだろう。
走ってもないのに肩で呼吸をしていた。

しばらくして、息が整ってくると同時に、
さっきの自分を省みてしまって、猛烈に恥ずかしくなってきた。

穴があったら入りたい。誰も居ない世界に行きたい。
もしさっきの姿を誰かに見られていたならもう死ねる。それだけで死ねる。

ζ(゚ー゚*ζ「まあ、誰にも見られてないし!ドンマイ!」

よせばいいのに、私は言った。

(ノ<_ ;)「ふっ…」

耐えきれないような声が私の耳に届く。
後ろを振り向く勇気が私には無くて、石垣を越えて逃げた。

まあ、うん。勿論、ご期待通り、落ちたけど。
今度は顔から。


55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:27:10.54 ID:gr1+mjm8O
さる防止

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:27:24.02 ID:flvlM/+l0

(´<_`;)「だ、だいじょう、だいじょうぶ、ですか…?」

ζ( ー ζ「………大丈夫デース」

せめて、せめて笑いがおさまってから聞いてほしかった。
それが出来ないなら、知らないふりをしていて欲しかった。

ひやりとした手を差し伸べてくれたときも、
意外なくらい強い力で私を起こしてくれたときも、
先生はずっとくつくつと笑っていた。

(ノ<_`;)「すみません、その、あんまりにも」

ζ( ー ζ「もういいです、何も言わないでください」

ああ、思い出すと今でも恥ずかしい…。


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:31:08.23 ID:flvlM/+l0

(´<_` )「また、道に迷ったんですか?」

ζ(゚ー゚*ζ「ちがいますよ!此処に来たくてきたんです!」

(´<_` )「こんな寂しいところに?」

ζ(゚ー゚*ζ「おじさんこそこんな寂しいところに一日中居るんですか?」

(´<_` )「別に一日中というわけではありませんよ」

その言葉を聞いて、私はこの出会いになんかこう、運命的なものを感じて嬉しくなった。
…いやまあ、運命的というにはマヌケなものだったけれども。

(´<_` )「何か、嫌なことでもあったのですか」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

(´<_` )「話したくないのなら、いいですけれど。何か、力になれるかもしれないですよ」


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:35:30.60 ID:MQI7v9y4O
そういえばデレと弟者の組み合わせってなかなか見ないな

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:36:01.82 ID:flvlM/+l0

伊達に長く生きてはいませんから。
先生はそこまで言うと、あの日と同じように目線を海に向けた。
だから私も海を見た。あの日と違う、昼間の海。
透き通っているけれど、底は見えない。

初めて会ったときも、先生は同じようなことを言っていたことを思い出す。
言いたくなければ。話したくなければ。
そういった前置きは、大人の気遣いなのだろう。
けれど私にはそれが寂しいものに感じた。

私を傷付けないように作った膜が、
そのまま先生を遠ざける壁になっている気がして。


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:39:40.62 ID:flvlM/+l0

(´<_` )「…」

ζ(゚-゚*ζ「……」

(´<_` )「…」

ζ(゚-゚*ζ「……」

(´<_` )「…すみません」

ζ(゚-゚*ζ「え?」

(´<_` )「申し訳ないのですが、どうしても気になるので、教えてください。
       貴方のその表情の理由を」

ζ(゚-゚*ζ「……」

卑怯だ。


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:41:52.39 ID:flvlM/+l0

ζ(゚ー゚*ζ「別に、別になんにもないですけど」

ζ(゚ー゚*ζ「ただなんか、もう、こう」

ζ(゚ー゚*ζ「なんか、どうしようもないっていうか」

ζ(゚ー゚*ζ「…」



62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:43:50.27 ID:pC4iL5250
やきもき

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:44:05.13 ID:flvlM/+l0

ζ(゚ー゚*ζ「だって」

ζ(゚ー゚*ζ「だってわたし」

ζ(゚ー゚*ζ「わたし、何もしてないのに、」

ζ(゚ー゚*ζ「付き合ったことだって、小学校の一回しかないし、」

ζ(゚ー゚*ζ「おかあさんに暴力なんかふるったことないし、」



64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:46:34.68 ID:flvlM/+l0

ζ(うー゚*ζ「暴力団とか意味わかんないし」

ζ(゚ー⊂*ζ「勉強全然わかんないし」

ζ(゚ー゚*ζ「お母さんは楽しそうだし」

ζ(゚ー゚*ζ「みんな怖い」

ζ(゚ー゚*ζ「みんな…」

ζ(うー;*ζ「わたし、わたしなにも、なにもしてないのに なんで」

ζ(;-;*ζ「なんでしんじてくれないの…」


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:48:54.18 ID:flvlM/+l0

言葉が進むほどに、胸をかきむしりたいような衝動にかられる。
ああ私、ほんとうは結構辛かったんだな。
考えれば考えるほどどろどろの沼にはまって出られなくなって。
悲しい。苦しい。息が出来ない。

助けてって、本当はずっといいたかった。
信じて。私そんなことしてないよ。

誰か、

(´<_` )「信じますよ」


66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:49:12.29 ID:99RAyDxo0
支援

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:51:10.13 ID:flvlM/+l0

(´<_` )「私は貴方を信じます」

(´<_` )「貴方は何もしていません」

(´<_` )「貴方は…いい子だと思いますよ、私は」

(´<_` )「…だからそんな風に自分を責めないでください」

ζ(;-;*ζ「う」

(´<_` )「大丈夫、ちゃんと言えばわかってくれますよ」

ζ(;-;*ζ「うううう」

(´<_` )「大丈夫」

ζ(;-;*ζ「う、うううう、うわああああん」

(´<_` )「大丈夫ですよ」

大きな手が頭を撫ぜる。
泣かないで、と先生は言わなかった。
それが優しさだと気付けるほど、私は大人じゃなかったけれど、
こころはその優しさをしっかりとわかっていて、だから、涙が止まらない。


68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:54:03.71 ID:+1hBcqzzO
やっぱ漱石か

支援

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 22:55:31.74 ID:flvlM/+l0

ζ(う-;*ζ「ちが、だって私も悪かったの、」

(´<_` )「悪くないですよ」

ζ(;-;*ζ「だって、だってちゃんと仲良くしようとしなかったもん」

(´<_` )「不安だったんでしょう、仕方ないですよ」

ζ(;-;*ζ「ううう、ううう」

(´<_` )「大丈夫」

悪くないと言われると、返って自分の悪かったところが見えてくる。
反省ばかりが心を支配して、どうやってそれを乗り越えればいいのかわからなくって、
いっそ消えてしまいたくなる。


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:00:33.93 ID:flvlM/+l0

(´<_` )「貴方は、自分の悪いところがちゃんとわかっています。
      そういう人は、大丈夫なんですよ」

ζ(うー゚*ζ「…なんで、わかるの」

(´<_` )「そういう人を、知っていますから」

ζ(゚ー゚*ζ「…私も、その人みたいに、大丈夫とは、限らないです」

(´<_` )「困りましたね。けれど私は貴方を信じていますから。貴方なら大丈夫だと」

ζ(゚ー゚*ζ「…」

(´<_` )「時間はかかるかもしれないけれど。苦しくなったら、また此処に来て泣けばいい」

ζ(゚ー゚*ζ「…」

(´<_` )「ああ、久しぶりにたくさん笑って、たくさん喋りました。貴方は大した方ですね」

ζ(゚ー゚*ζ「…おじさんも大したおじさんです」

(´<_` )「それは、どうも」



71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:03:36.07 ID:MQI7v9y4O
支援

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:04:02.11 ID:flvlM/+l0

先生が優しく笑う。
お父さんが居たら、こんな感じなのだろうか。
そう思うと、どこかせつなくなった。

先生への恋情に気づくのが遅れたのは、
こういったお父さんへのあこがれが入り混じった想いが有ったこともあるのかもしれない。

とにもかくにも、この日から、私はこの海辺へ毎日のように通うようになる。

実は、先生が居なくなった今も、たまに来てしまう。
この海辺だけは何も変わらなくて、だからまだ振り返れば先生が居るような気持ちになれる。
だから、私はわざと振り返らないまま、何時間も海を見ていたりするのだ。

帰るときに悲しくなるだけなのに。


73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:06:44.36 ID:flvlM/+l0
なんかキリの悪いところですが本日はこれで終了です。
支援ありがとうございました。猿くらわなくてよかったw
質問・文句などあればどうぞ。


74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:09:13.79 ID:MQI7v9y4O
>>73
乙です
先が気になるwww

夏目漱石のこころが元だよな?

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:10:58.62 ID:6wPm44uU0

兄者とか出るの?

76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:13:08.70 ID:fNne30sj0
支援

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:14:20.43 ID:fNne30sj0
と思ったら、終わりだたw
乙でした

78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:14:32.22 ID:/TzOyWofO
追い付いた。
乙!!

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:15:34.93 ID:flvlM/+l0
>>74
ありがとうwwww
そうだよ!元というにはおこがましい文章だけどな!
あと厳密には元、ではないのだけど、
まあ後々明らかになると思います。

>>75
出ますよー。

>>76
( ^ω^)ニコヤカ
ありがとうww

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:18:55.12 ID:M7oGdugg0
よむほ

81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:19:40.36 ID:+1hBcqzzO


綺麗な文章で好きですわ

先生の活躍に期待

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:20:45.99 ID:MQI7v9y4O
>>79
wktkして待ってる


個人的には兄者はKの位置ではないかと予想してしまう

83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/10(土) 23:23:28.57 ID:flvlM/+l0
>>81
なんて嬉しい言葉を…ありがとう。
先生まだただのおじさんだけど頑張っていただきたい。

>>82
ニヤニヤして書いてくるwww
予想されんのってdkdkするけど嬉しいなww

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